付言事項

付言事項の意味と目的

 遺言事項でないことを遺言書に書いても、法的効力がないだけで、それを書いてはいけないというわけではありません。

 このような法的効力のない記載を「付言事項」と呼んでいます。

 付言事項は、遺言としての法的効力はありませんが、残された者へのメッセージとしての意味はあり、その記載内容が相続人等に伝わり、それが相続人等の行動に影響を及ぼせば、事実上の効果をもたらすことになりますので、意味がないわけではありません。

 遺言書は、相続紛争の予防を目的に作成するのですから、法的効力を期待するのが本来ですが、法的効力のない付言事項が相続人等に一定の効果を及ぼして、紛争の予防ができるならば、遺言書に付言事項を書くことは意味があります。

 

付言事項を書く場所

 付言事項を遺言書のどこに書くかについては決まりがあるわけでなく、遺言事項を記載した後に、【付言】として記載することが一般的です。

 これは、法的効果のある遺言事項と区別して、「法的効力のないができればそうしてほしい項目」として明確にわけることを意味しています。

 このように、遺言事項と付言事項を明確に分けておくことで、遺言者にとっても、どこまで法的効力が及ぶのかを意識することができ、相続人にとっても、法的効力の有無を誤解して無駄な紛争に及ばないようにする効果があります。

 また、本文の中に付言事項が混ざった場合、その条項が無効となるだけでなく、遺言全体に悪影響を与える恐れがありますので、付言事項と遺言本文は明確に区別して書く方がよいのです。

 

付言の内容

 付言の記載内容については、制限はなく、何を書いてもかまいません。

 ただ、遺言の遺言事項に続けて記載しますので、遺言事項に対する理由や説明が多くなります。

 相続人の気持ちに働きかけて、相続紛争を予防し、遺言者の意思を円満に実現しようとするものですから、その目的にかなったことを書くべきです。

 つまり、相続人の納得がいくようにする内容や書き方でなければ意味がありません。

 相続人が読んで、「よく考えて記載したことだから、仕方ないな」、「ことを荒たてずに、ここは我慢したほうがいいな」などと感じて、その付言に従おうとという気持ちになるような内容にすべきです。

 

 ただし、具体的にどのような書き方が適切かは、遺言者と相続人の関係、相続人の性格、相続人の経済状態等々により変わりますので、それをよく考えて書くようになります。

 

付言を書く際の注意

1⃣ 遺言条項に条件を付けたのではないかと誤解されるようなことは避けるべき。

 付言はあくまでも法的強制力がないものとして書かれるので、付言「長男は長女に対して経済的にサポートしてください。サポートしないなら、法定相続分の通りにするつもりです」という内容。遺言に解除条件を付けたようにも見え、争いが生じる原因になります。付言としてかくなら、あくまでも希望であることを認識して、誤解がないように書くべきです。

 

2⃣ 相続人に対する感情的な非難、人格攻撃はしない

 遺言は、すべての相続人が読むことになります。したがって、遺言にあまりにも感情的な記載をすると、当該相続人を大勢の人の前で非難したことになり、反発を招いて、紛争を深刻化させる恐れがあります。

 

3⃣ 遺言は生前のことは書かない

 遺言書は、生前に開示すると書換えや等が起こり可能性が出てくるので、一般的には死後に開示されるものです。

 従って、自分の「尊厳死宣言」や「臓器移植」については、生前の問題であって、これを遺言書に書くと、生前に開示する必要が生じ、遺言の内容まで開示されてしまうので、エンディングノート等に書くべきです。

 また、葬儀等に関しても、同様です。

 

付言の具体例 目次

遺言作成の基礎

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