遺言書と似たものに、「エンディングノート」というものがあります。市町村の高齢者福祉課や地域包括支援センターが作成して、配ったりしています。
自分の人生の集大成の時期に悔いを残さないための準備でもあり、ご家族等の遺された方が対応を迷って困らないように、あらかじめ自分の希望を書いておくノートです。重い病気にかかり意思疎通が困難になったときの対処法を記載することも含みます。
遺言ではないので、ご家族等への公表が原則です。
あくまでも希望ですので、法的効果は発生しません。
それに対し、遺言は法的効果を持ち、一定の方式に従って書く必要があります。
ですので、一般の方がご自身で作成するには注意しなければならないのです。
先ほども述べましたが、遺言書は法的効果を持つため、一定の方式に従って書かなければなりません。
遺言書の内容に如何により、遺産の権利がどこに属するかで、多くの人に影響を与えてしまいます。
遺言書を書く時点で、家族に争いがない場合、一家の家長であるお父さんが「こういうふうに分けたいが、意見はあるか?」と切り出せば、大方問題はないと思います。
しかし、日本の社会において、遺言を書くという行為は、大抵の場合、何か問題があるのかもしれません。
それなので、ただ何となく書いてみたでは、次のような危険があるのです。
法的に無効な遺言書になってしまう
絶対にあってはならないのが、これです。
遺言書は、不動産の名義変更や預貯金の解約手続きなど相続手続きの際に使う書類でもあります。相続させたい財産の、特定の仕方が不十分で、どの財産かわからない場合は、相続手続きに使えない可能性があります。
遺言がトラブルの原因になってしまう
遺留分を無視したものや、付言事項でその理由の記載内容がないものがそれにあてはまります。
遺言書は本人の最終の意思表示です。
ですから、遺留分を無視したものでも構いません。後で、遺留分侵害額請求をされても構わないのであれば、それはそれでいいと思います。しかし、それを書いた理由を、付言事項で書いていれば、相続人も納得するかもしれません。付言事項は、遺言事項ではないので(遺言書に書かれていますが、法的効力がない記載)、相続人へのメッセージとして伝わることでしょう。
もし、法定相続でない遺言を書くなら、付言事項をきっちりと書くことをお勧めいたします。
ただし、付言事項は法的効力を持たないので、争いが起こることも十分理解しておいてください。
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