遺言者にとっては主観的価値があっても、一般的には財産的価値が乏しいものがあります。このようなものは、相続人や関係者の間で分配、処分されたりしています。もし、遺言の中で「その他一切の財産は○○に相続させる」という一文が記載されていれば、相続した○○の判断で処理されるでしょう。このような場合に備えて、それをどうするかの指示をする内容です。
① 「私のコレクションは、価値があるとは思えないので、適当に処分しておいてください」
② 「アクセサリー類は、姪たちで、気に入ったものがあれば貰ってください。いらないものは処分してください」
③ 「○○は、古くて実用的ではないですが、先祖代々から残されたものなので、これは次世代に伝えていってください。」
④ 「遺言者が日ごろ使用している腕時計は、父から送られ、心の支えとなったものです。長男もこの時計を引き継ぎこころの支えとしてほしい」という内容。
遺言者の遺産の中には、さまざまな理由や事情から、遺言者にとって、単に経済的な価格のみで測ることのできない価値を持つ思い入れのある品物や愛蔵品があります。
これらの物を相続人に相続させる場合、遺言者がどのような理由・事情から、これらの品物に対してどのような思いをいだいているか、遺言者が亡くなった後これらの品物をどうしてほしいのか、遺言の中で具体的に示して相続人に伝えましょう。
遺言者の、個人的な理由や事情から、単に経済的な価格のみでは測ることのできない価値を持つ、思い入れのある品物や愛蔵品について、その思いや考えが相続人に伝わらなくては、遺言者の思い通りにはならないことになります。
本ケースでは、腕時計が、遺言者の遺品整理の過程で廃棄処分されてしまったり、別の人間にわたってしまったりすることも考えられます。
そこで、遺言者がどのような思いで当該遺産を相続人に相続させたのかを、明確に記載することが必要です。
・遺言を作成するに至った趣旨、理由を補足し、書ききれなかったことを説明する内容 ➤
・遺産を承継する者に、承継後の遺産の使い方を指示する内容 ➤
・財産的価値の乏しい愛蔵品等についての保管方法を指示する内容 ➤
・身寄りがないので、遺体の引取り、葬儀、家財の処分などで周囲の人や遠い親戚に迷惑をかけたくない ➤
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